偶成 2013 10 20

書名 大人の国語力がつく漢詩100選
著者 守屋 洋  角川SSC新書

 漢詩というと、中国を連想するでしょうか。
しかし、日本人が作った漢詩もあります。

幾歴辛酸志始堅
丈夫玉砕恥甎全
我家遺法人知否
不為児孫買美田

「偶成」 西郷隆盛

幾たびか辛酸を歴て 志始めて堅し、
丈夫は玉砕するも 甎全を恥ず。
我が家の遺法 人知るや否や、
児孫の為に 美田を買わず。

何度も辛酸をなめて、始めて志が堅くなる。
男らしい男というのは、いさぎよく玉と砕けるもの、
なすこともなく生きながらえるのを恥とする。
わが家に伝わる教えを人は知っているだろうか。
それは他でもない、
子や孫のために、財産を残さないということだ。

「偶成」 ふと思いついてできた作品という意味。
「甎全」(せんぜん) なすこともなく生きながらえること。「瓦全」と同じ。

 この詩は、大久保利通に送った書簡のなかに出てくるもので、
西郷隆盛の平生の覚悟であったという。
























































































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